武蔵境駅北口市有地有効活用事業は立ち止まるべき

武蔵野市では武蔵境駅北口にある約600㎡の市有地を民間活力を利用して有効活用をする事業を進めている。

民間事業者に30年間の定期借地権で貸し付け、事業者が建てた施設に200㎡の市政センターを設置するというもの。地代・施設建設費・維持管理費等は業者の負担となり、市の負担は市政センターの内装工事・運営経費・家賃のみとなる。

施設の全体像や、市政センター以外の施設、地代及び家賃の設定を含めたパッケージとしての提案を公募し、6件の応募の中から学識経験者や市職員を含めた審査委員会の審査により10月30日に優先交渉権者が決定された。

優先交渉権を得た提案は、地代47万円/月・家賃40万円/月で、1階がクリニック、薬局、親子カフェとなり、2階に市政センター、体操教室、屋上にバーベキューガーデンというもの、それぞれ個別の事業者名は明かされていないが、恐らく全て決まったうえでの提案だと思われる。11月15日発行の市報及び、11月16日の総務委員会で全体像が明らかになった。

◇12月7日の一般質問では、屋上バーベキューガーデンが建築基準法(又は都市計画法)に抵触する可能性があると指摘をした。
当地は都市計画法第53条により「階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと」という建築制限がかけられており、屋上の利用に関しては建築基準法の規定が適用される。

建築基準法施行令 第2条第1項8号では 屋上建築物に対して「昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の水平投影面積の合計が八分の一以下のものは、当該建築物の階数として算入しない。」と規定されており、言い換えればこれに該当しない建築物は3階としてみなされる事になる。

本案のバーベキューガーデンは一般的に屋外で自由に楽しむ物ではなく、あくまでも商業施設であり、仮に精算スペースや事務所、従業員の控え室や更衣室、ドリンクを提供するコーナー等が必要となれば、建築物が必要となってくると思われる。

市長の答弁では「運用上、仮設のテントや可動式のオーニング、あるいは倉庫などは設けられる可能性はあるが、法に抵触しない範囲で設置することとなる」との事だったが、はたしてそのような施設でまともな営業が出来るのか疑問が残る。

    階段・エレベーター棟で営業を行えば、建築物に他の用途が発生するため3階とみなされることになり、法令に抵触する可能性がある。私は以下の二点を理由に厳格な対応を求めた。

  • 市の土地を貸し出し、市政センターが入っているような施設でグレーゾーンをすり抜けたと思われるような営業は認めるべきではないこと。
  • 今回のプロポーザルでは屋上を利用するかしないかは、事業のアピール度だけではなく、事業全体の収支に影響し、当然家賃設定などにも関わってくることから、グレーな部分を残したまま許可を出せば審査の公平性が疑われることになる。

◇11月16日の総務委員会行政報告及び、12月12日の総務委員会での陳情審査では、1階にクリニックが入ることについての質疑が行われた。
このクリニックは駅前一等地という立地の都合から、街の賑わいを途切れさせないために年中無休で夜まで診察するとされている、武蔵野市では休日夜間診療に関しては医師会にお願いをして輪番制で診察をして頂いている事や、市及び医師会が推奨している、かかりつけ医、医療機関の連携の仕組み等に影響を及ぼす事が懸念されるが、医師会との協議に関しては問題ないとの説明だった。

しかし、12月16日武蔵野市医師会より、武蔵野市議会議長宛に「本計画を白紙撤回し、再協議を求める要望書」が提出され、「12月13日医師会理事会において初めて事業の詳細が決定事項として説明されたことは大変遺憾である」「武蔵野市における休日初期救急診療は、様々な調整の上で、健康福祉計画と地域医療のあり方検討委員会報告書に基づき行われており、本計画はこれまでの市と市医師会が培ってきた信頼関係を崩すとともに、市の施策との整合性がなく問題である」等と、これまでの市の説明が根本から覆される内容であり、あまりにも不誠実な市の対応に強い怒りがこみ上げてくる。

恐らくこの要望書は市長へも提出されていると思われ、これまで地元の抗議に対しては「一定の手続きを踏んだ上で決定したことなのでご理解下さい」との一点張りであったが、今回はそういうわけには行かない、医師会との信頼関係を崩してしまっては、もはや全市民に影響する大問題である。

◇地元や関係機関と合意形成が図られないまま進めるべきではない
本事業は昨年12月の総務委員会において「この土地にPPP(公民連携)の手法を用いて市政センターを移設したい」との行政報告があり、「課題を整理して、年明け3月頃には地元説明、地元の意見も聞いてみたい」と説明があった。

その後、平成28年度予算において本計画に対するコンサル料が計上され、5月・6月と経過報告があり、11月16日の優先交渉権者が決定したとの行政報告に至る。当然この間、地元への説明、合意形成が図られてきているものと考えていたが、実際は一部の関係者に説明をしただけであり、その際も事業に対する理解は得られておらず、公開の説明会は5月31日に1回のみ、これも55名の参加があったが内訳は応募事業者なども多数参加し、純粋に地元住民と呼べる参加者は十数名程度だということは、この間の質疑で明らかになっている。

武蔵境駅周辺の街づくりは、昭和52年に市が提案した北口再開発事業に対する強い反対運動を受け、昭和59年「武蔵野市境北口まちづくり市民委員会」が発足、平成8年に「武蔵境駅舎広場街づくり協議会」(駅場協)が発足し、行政と市民が信頼関係を深めながら脈々と受け継がれてきた経緯がある、先の陳情審査の際には「これまで市のまちづくりに協力してきたが、最後に市に裏切られたと思っている」と陳情者は述べている、この言葉に市長は何も感じないのだろうか。

今回の手法は、全てのテナントをパッケージで提案する事業スキームであり、今から一部を変更することは出来ない仕組みになっていることは理解している。しかし、6月の公募開始より前に地元と膝を付き合わせた協議をしてこなかった以上、事業の進捗を一度止めてでも市は地元と向き合い合意形成に努めるべきである。

◇事業者に対しても不誠実な対応
今回優勢交渉権を得たグループの代表企業は市内の建設会社であり、設計担当・施設管理会社の3社は明らかになっているが、テナントとして入る事業者名は現時点では公表されていない。

市のホームページに公開されている応募事業者との質疑応答の資料では「建設そのものに対する反対運動が起こるようなことはないと考えてよいか」との質問に「地元説明会では様々な意見があったが、これらには配慮してあり、全体としては事業に対する理解を得られている」との回答であった。

その説明会には私も参加したが、地元市民からは異論が噴出していたと私は認識しており、それが解消されないままなぜこのような回答がなされたのか理解に苦しむ。

また、市が陳情者を呼び出し事業者から直接事業説明をさせようとしたことが陳情審査の際に明らかになった。その時点では、陳情者を含む地元の市民から出された抗議文に対し市からの回答が行われておらず、陳情者は「市との話がついていない状態で、事業者の説明を受けるわけにはいかない」と退席したが、その場で呆然としている事業者に対しては大変申し訳なく思い、謝罪をして帰ったとの事だが、事業者及び陳情者の心証を考えると、このことにも強い憤りを覚える。

◇ボタンの掛け違いで済む問題ではない
行政と市民との行き違いがあった際に「ボタンのかけ違いがあった」と表現されることがあるが、もはやそのような一言で済まされる問題ではない。
今回はPPPで市政センターを駅前に移設するという結果を出すことを急ぐあまり、市民・医師会・市議会との信頼関係を行政自らが崩してしまった。
このような状態で、PPPという手法はこういうものだと一言で片付け、強引に事業を進めてしまえば、大きな禍根を残すことになり、その結果として地域に歓迎されない施設が武蔵境の駅前に30年間建ち続ける事になる。

12日の総務委員会で不採択とされた陳情においても、審査過程で参考とされていた説明が事実と異なると分かった以上、このまま20日の本会議で委員長報告の採決に挑んでよいのか、よく考えなければいけない。

※武蔵境駅北口市有地有効活用事業関連資料

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武蔵境駅北口市有地有効活用事業は立ち止まるべき への2件のフィードバック

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