平成29年度一般会計予算反対討論

自由民主・市民クラブを代表して、平成29年度一般会計予算に反対、4特別会計・水道事業会計予算に賛成の立場で討論いたします。

一般会計予算に対する反対の理由は大きく2点、これまで様々な問題を指摘してきた、武蔵境駅北口市有地有効活用事業に含まれる武蔵境市政センターの移転に関わる費用、86,426,000円、もう一点が総務費・1項・企画調整費、市有地有効活用に関する公民連携の可能性の調査費、7,841,000円です。

武蔵境駅北口市有地有効活用事業に関しては、本特別委員会においても様々な指摘をして参りました、優先交渉権者決定からこの間、陳情審査等の際に市長は「調整計画の策定の中で様々なご議論を頂いた」と強弁していましたが、今回の質疑の中で、非公開で行われ議事録も公開されない密室で決められ、調整計画に記載されたことが明らかになっています。

また 市民や議会に配布された討議要綱及び、調整計画(案)においても、そのような記載はなく 「調整計画の策定の中で様々なご議論を頂いた」との答弁は事実に反する発言であり、強く抗議を申し入れます。

長期計画・調整計画に記載されていることを持って、市民参加を得たと主張するのであれば、これは形だけの市民参加であり、執行部のアリバイ作りのための市民参加であると指摘せざるを得ません、邑上市長はこのような姿勢は早急に改めるべきであると申し上げ、本事業の問題点を具体的に3点指摘し反対の根拠と致します。

1点目は、本事業が事業提案書どおりに進捗しておらず、その確認が取れないまま結ばれた 事業用定期借地権設定契約の問題であります。

この契約の第3条では、募集要項・要求水準書・事業提案書等の関係書類を遵守することが定められていますが、事業提案書に具体的に掲げられている「地元商店街との連携・クーポンの利用」が実体の伴わない提案であったことが既に明らかになっています

また、地元企業による内科・小児科クリニックという提案も、未だ運営する医療機関が決定しておらず、その見込みも立っていない状態です。事業提案書では「地元企業による」と示されていますが、ある医療関係者によると「あの場所の賃料の相場は坪3万円であり、地域で開業している内科医・小児科医がそのような場所でやっていけるはずがない。」とのご意見をお聞きしました、「全国展開している大手医療機関なら可能性はないことはない」とのお話も伺いましたが、それでは「地元企業による」という事業提案が崩れてしまいます。

また、ある医療関係者は、賑わいの創出のために休日夜間診療を行わせるという発想自体、地域医療を理解していない提案だと指摘をしていました。

事業提案書のコンセプトが崩れ、テナントとして入る「地元企業によるクリニック」を担う医療機関も決まらないまま結ばれた本契約は、関係書類の遵守という契約事項に反しており、即刻契約を解除するべきであります。

契約を結んでしまった事を理由に 事業提案書に沿わない事業を認めてしまえば 「できもしない提案で応募し、選考後に、できませんでした」という手法がまかり通ることになり、プロポーザルの公平性が崩れるだけではなく、武蔵野市の信用にかかわる問題であります。

「様々な指摘があるから 事業が進まない」と言った反論がありましたが、事前の協議不足・調整不足がこのような事態を招いたのであり、そのような事業を最終的に決定した市長の責任は重大であります。

基本協定書によると、契約の不調の場合の処理という項目があり、市政センター部分を借り受ける際に結ぶ普通建物賃貸借契約を締結する前であれば、本事業の準備のために支出された費用は各自の負担とされており、撤回は早ければ早いほどお互いの傷が浅く済みます。

2点目は屋上バーベキューガーデンについてです。
土木費の質疑では、まちづくり条例に基づく事業者主催の建築説明会の資料を基に質疑を致しましたが、その図面の最上階にある建築物は建築基準法施行令で階数として算入されない建築物には当たらないと思われます。

エレベーターから降りた場所が屋上に固定された防音壁で囲まれ、キュービクルを屋根代わりにしていれば、エレベーターホールとしての要素を満たし、これを屋外とみなせと言うのは、拡大解釈であります。

これまで市の建築指導課が、 屋上階段室や簡易なエレベーターを階数に算入してこなかったという事例は、屋上の保守点検等の必要最低限のものであると思われ、屋上を商業施設として利用するためのエレベーターホールと同一に論ずることはできないと考えます。
この建築物に市長が都市計画法第53条の許可を出せば、プロポーザルの公平性が失われることになります。

ちなみに、屋上バーベキュー場の匂いや煙に対する不安の声に対しては、これまで無煙ロースターと聞いているといった説明がされ、この問題を取り上げたテレビ番組に対するインタビューでも 出演した部長は同じ事を仰っていましたが、果たして本当でしょうか、2月事業説明会の会場で事業者に直接確認したところ、無煙ロースターではない一般的なバーベキューコンロを予定しているとの回答を頂きましたが、市としても早急に確認することをお勧めします。

3点目は議決の必要性についてです。
財産の処分を定めた地方自治法237条2項、並びに、議会の議決事項を定めた地方自治法96条第1項第6号では、普通地方公共団体の財産を適正な対価なく貸し付ける際には条例または議会の議決を要するとされています。

工事中の地代を免除するということは、この間の適正な対価を得ていないことになり、条例または議会の議決を必要とします。

実際に他の自治体において、本市と同様のPPPを用い、定期借地権契約で民間企業に公有地を貸し出す際に、工事期間中の地代を免除することについての議決を行っている事例も確認しています。

定期借地権契約とは契約期間の上限を定めることが目的の制度であり、貸主である武蔵野市に認められているのは契約期間中の地代を請求する権利であって、30年間の歳入の保証ではありません。30年分の適正な対価として主張するのであれば一括前払いで地代を受け取るのが筋であります。

これが民間同士の契約であれば、双方の合意の下で契約を結べば済む話ですが、市の財産である市有地を民間企業に貸し出すにあたっては、まずそのことに対する議論および議決、又は議決を経た条例での裏付けが必要です。

この先の29年間で元が取れるという解釈に対し法的な根拠を示さず、コンサルや弁護士の意見を元に主張していますが、市と契約しているコンサルや顧問弁護士が市に有利なコメントを述べるのは当然のことであります。

締めくくり総括質疑において、市長は30年間の一部を切り取って考える必要はない、との答弁をされましたが、今回の土地の貸付料は月額で47万円と定められ、市の歳入は年間の歳入として1年ずつ議決されます、借地権契約締結時もしくは事業者が土地を占有した時点から受け取れるはずの地代を、執行部の判断のみで免除するということは2元代表制の否定であり 執行部の暴走であると言わざるを得ません。

このようなことから、必要な議決を経ずに締結された本基本協定は無効であり、認めることはできません。以上、契約上の瑕疵が一点、法的な瑕疵二点をもって、武蔵境駅北口市有地有効活用事業の問題点の指摘といたします。

次に、総務費・企画調整費・市有地有効活用に関する公民連携の可能性の調査費、に関して申し述べます。

質疑の中では、吉祥寺本町・東町の市有地が検討の対象だということが明らかになりました。 この調査は、PPPの実現性の検討、PPPを採用するか採用しないかを検討するためのものだとの説明がありましたが、まずは本市においてPPPを用いるにあたり、議会のかかわり方市民参加の手法などのガイドラインの策定が先であります。

現状では、仮にPPPが実現可能となった際に「予算をお認め頂いた」との強弁の元、今回の境北口のように執行権と言う強大な権力をもって強引に進められることが可能であり 、我々はこの予算を認めるわけにはいきません。

今後、PPP手法を用いるにあたり、今回の反省を踏まえてといった趣旨の発言が度々ありましたが、それは、これまで境のまちづくりに参加・協力してきた関係者の思いを踏みにじるものであり、この発言に対しては、境のまちは行政の実験台ではないと強く申し上げておきます。

PPPに関しては委員会の討論の中で、自民党が推進しているではないかといったご指摘がありましたが、我々はPPPの全てを否定しているわけではなく、使い方の問題であると考えています。仮に政府が進める手法だとしても、市としての利益が見込まれないとの判断に至れば別の手法を検討するべきであると考えています。

続いて、他の施策について主な問題点を指摘します。

自治基本条例の策定については、市長の選挙公約に掲げられていますが任期中の条例化は厳しいという見解を市長も示されました。また、8月までに骨子案を示すということも厳しいのではないか、ということが現在進められている懇談会の中でも指摘をされています。
このことに対しては期限にこだわることなく、慎重かつ丁寧な議論を妨げることの無いよう求めたいと思います。

次に、外郭団体の整理統合についてです。福祉公社と市民社会福祉協議会の組織のあり方検討委員会報告書において、両団体の統合は当面見合わせるべきとの結論が示されましたが、 正副委員長を両団体の事務局長が務め、第三者も交えない委員会の報告書で、当面の見合わせを結論付けてしまうということは、市が外郭団体の指導監督を行う責任を放棄したに等しいと言わざるを得ません。

このことは、新年度から実行される、第五次行政改革アクションプランにも反することになり、委員会の報告書のみで結論付けるべきではないと指摘しておきます。

続いて地域こども館事業について申し述べます。
学童指導員として、こども協会の正規職員が大幅に増員されたことに対しては、当面は都からの補助金により市の負担は大幅に増えることはないとのご答弁でしたが、補助金の減額や 人件費の増加などによる今後の市の負担増に対する見通しがつかない中での外郭団体の肥大化は避けるべきであります。

また、地域子ども館事業を子ども協会に委託し、年間7000万もの一般財源の支出増を見込んでおきながら、早朝開放事業は担えないと言うことに対して、事業そのものの精査が必要であると考えます。

次に、待機児対策についてです。
質疑の中では、認可保育所を五園新設することの実現の可能性について、指摘を致しました。 吉祥寺南町の市有地の活用に関しては、近隣住民の方々との協議中であることから、踏み込んだ質疑は出来ませんでしたが、現段階で当該の市有地を民間事業者に貸し出すための契約方法すら決まっていないとの答弁があり、事業の遅れを懸念しています。

この進捗の遅れに関しては、昨年の吉祥寺東町での混乱の影響がまだ残っているように感じられ、混乱のさなか事業者が撤退をした背景には市長が「事業者については いろいろな課題がぼこぼこ出てきて私も不安な面がある」などと発言したことが影響していると思われ、 今後はそのような失態を犯さないよう強く求めたいと思います。

次に、エコプラザに関してです。
これまでも発言してまいりましたが、今後、公共施設の床面積の縮減を進めていく中で、」
建物自体は転用とはいえ、新たな公共施設を作ることに対しては、その目的や必要性を明確にし、全市的に理解を求める必要があります。
長期計画・調整計画、公共施設等総合管理計画等に記載されているからということでは理由にならず、大切なのはこの先の議論であるということを、あらためて申し上げておきます

最後に学校教育について、2点申し述べます。
児童数増加に伴い、小学校給食の提供が現状の施設では対応しきれなくなり、共同調理場
の本格的な建て替えでは期間的に間に合わないため、緊急の対応を取らざるを得ないこと
が明らかになっています。
これは、自校式調理場に拘るばかり共同調理場の現状に目を向けてこなかった、邑上市長の最大の失政であり、失策であるとあらためて指摘をしておきます。

自校式に拘らず、安心安全の給食を確実に提供する方法を第一に考え、対応することが学校設置者である市長の責任であります。

続いて、施設一体型義務教育学校の検討について。
施設一体型義務教育学校の議論にあたっては、昨年行われたようないじめや中一ギャップ、
家庭や地域の教育力の低下など、全国的に使われている資料を基にした、導入ありきの説明
ではなく、本当に未来の武蔵野の子供たちにとって、なにが必要なのか、今の6:3制を
大幅に変えてまで施設一体型義務教育学校は導入の効果があるのか、きちんと議論する必要
があります。

将来的に子供たちが少なくなるからと、学校の小規模化に対する対応が必要であれば、他の方法を考えるべきであり、小規模化への対応を施設一体型義務教育学校を導入するための 理由にするべきではありません。学校規模を課題とするのであれば、まずはこれからさらに増加する児童生徒数に対しての対応を最優先にするべきであります。

小学校1年生と中学3年生との触れ合いの効果を否定する物ではありませんが、そのことによる中学生の心の落ち着きとは、教育的効果ではなく、生活環境による効果であり、これは別の取り組みでも得ることができます。

体格も精神状態も大きく変化をする9年間を無理に同じ施設で過ごさせるのではなく、小学生には小学生に適した教育環境、中学生には中学生に適した教育環境を充実させるべきであると、強く申し上げておきます。

以上で、個別の問題点の指摘を終わります。

一般会計予算に対し、部分的に賛成・反対という議決ができないため、これまでは一部に
賛成できない政策が含まれていたとしても、ギリギリの判断の中で予算に賛成したことはありましたが、今回の武蔵境駅北口市有地有効活用事業に関しては、法的な瑕疵がある疑いが解消されておらず、また市有地を民間企業に貸し出すことに対する責任の重さが問われており、本事業に関連する予算を認めてしまえば、将来に禍根を残す施設が30年もの間、武蔵境駅北口に立ち続けることになり、これは認めることができません 

市長に対しては、あらためてこの事業は白紙撤回をするべきである、と申し上げ、平成29年度一般会計予算に対する反対の根拠と致します。

最後に、この3月末をもって退職をされます職員の皆様の、長年にわたるご功績に対し、心より感謝と敬意を申し上げ討論を終わります。ありがとうございました。

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